納豆というと「健康にいい」「腸内環境を整えてくれる」という体にいいイメージが強いのではないでしょうか?
納豆は、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの様々な栄養素が豊富に含まれています。
私も体にいいという理由で、納豆を摂るように心がけています。
しかし、中には納豆を食べるとおなかの調子が悪くなってしまうという人もいるようです。
納豆を食べることで下痢や便秘、腹痛を引き起こしてしまう可能性があります。
そういう人は、おなかの調子を整えたいからといって、納豆を食べるのはかえって良くないことがあります。
また、飲んでいるお薬によっては納豆を食べることで薬の効き目が悪くなってしまう場合もあるんです。
納豆が体に合っていないと感じる人は、当てはまるものがないかチェックしてみてくださいね!
納豆が合わない人は過敏性腸症候群の可能性がある!?
納豆を食べて、下痢や便秘などの症状がある方は「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません!
厚生労働省のホームページには、過敏性腸症候群についてこのように書かれています。
過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群です。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられています。
引用:厚生労働省
検査では腸に問題がないのに、おなかの調子が悪い状態ということですね!
まずは、簡単に過敏性腸症候群かどうかセルフチェックをしてみましょう!
- お腹の痛みは排便するとやわらぐ
- 腹痛があって、水のような下痢を起こすことがある
- 腹痛があって、強くいきまないと出ないような便秘をすることがよくある
- 1日3回以上下痢を起こすことがよくある
- 週に3回以下しか便が出ないことがよくある
- 下痢と便秘を繰り返すことがよくある
- 緊張したり、不安を感じるとお腹が痛くなることが多い
- お腹が張っていることが多い
- 便をした後に、便が残っている感じがする
- 出勤時に限ってお腹の調子が悪くなる
引用:アリナミン製薬
当てはまる項目が多いほど、過敏性腸症候群の可能性が高くなります。
過敏性腸症候群の原因
どうして過敏性腸症候群になってしまうんだろう?
実は、過敏性腸症候群のはっきりとした原因はわかっていません。
しかし、ストレス、過度な緊張、腸内細菌叢の変化などが関係していると考えられています
自律神経のバランスが乱れて、腸が知覚過敏になり、腹痛や下痢、便秘などの症状を引き起こします。
過敏性腸症候群の症状
過敏性腸症候群になると、どんな症状があるんだろう?
過敏性腸症候群は、症状によって大きく下痢型、便秘型、混合型の3つに分類されます。
腸の運動が過剰になることで腹痛や下痢を起こし、外出時に突然、便意や腹痛をきたすことがあります。
便秘を主な症状とするタイプで、腸が緊張状態となることで大腸の蠕動運動が減少し便秘となります。
下痢と便秘を交互に繰り返し、激しい腹痛を伴います。
過敏性腸症候群の検査・診断
まずは問診を行って、症状を詳しく確認します。過敏性腸症候群と似たような症状を引き起こす別の病気の可能性もあるため、適切な検査を行い診断されます。
過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群は、生活習慣の乱れや、精神的なストレスなどで症状が悪くなることが多いため、まずは生活習慣の改善やストレスの軽減を図ります。また、症状に合わせて薬物治療を行っていきます。
生活習慣の改善
普段の生活習慣を確認して、睡眠不足、過度な疲労、ストレスなどがあれば、改善をしていきます。
また、過度な飲酒、香辛料などの刺激物の摂取は、症状を悪化させる恐れがあるので、摂取を控えるようにしましょう。
高FODMAP食はおならが出やすくなる、お腹が張りやすくなる、下痢になりやすくなるなどの過敏性腸症候群の症状がでやすくなるので注意が必要です!
薬物療法
症状に応じて、腸の働きを調整するお薬や、便の硬さを調整するお薬、腸内細菌叢を整えるお薬など、適切なものが処方されます。
納豆が合わない人は高FODMAP食に気をつけよう!
FODMAP(フォドマップ)とは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称です。
高FODMAP食は、過敏性腸症候群を悪化させる原因となってしまうことがあるので注意が必要です。
欧米では過敏性腸症候群の患者の食事としてFODMAPを多く含む食事を避けることで過敏性腸症候群の症状が軽減すると多数報告されています。
過敏性腸症候群を悪化させないためには、高FODMAP食に気をつけたらいいんですね!
高FODMAP食とは
高FODMAP食とは、発酵性で吸収されにくい短鎖炭水化物群の食品のことをいいます。過敏性腸症候群を悪化させる原因になります。
- F→発酵性の食品
納豆、キムチ、ヨーグルトなど - O→オリゴ糖を含む食品
パンや麺などの小麦食品や、インゲンやそら豆などの豆類、食物繊維を多く含んだ穀物類 - D→乳糖、砂糖などの二糖類を含む食品
牛乳やヨーグルト、ソフトチーズなどの乳製品 - M→単糖類を含む食品
マンゴーやスイカ、りんご、梨などの果物やハチミツなど - P→ポリオールを含む食品
ガムなどに含まれるキシリトールや、ソルビトールなど
納豆も高FODMAP食の中の1つで、過敏性腸症候群を悪化させる原因となってしまいます。
納豆が合わないと感じる人は、納豆を食べることで過敏性腸症候群を悪化させてしまっているかもしれないんです!
高FODMAP食以外を食べるとなると、なにが食べられるんだろう?
低FODMAP食とは
FODMAPの含有が少ない食べ物のことを低FODMAP食といいます。主な低FODMAP食は、以下の食べ物です。
- お米、おもち、十割そば、ビーフン、フォー
- じゃがいも、こんにゃく
- トマト、ブロッコリー、かぼちゃ、だいこん、なす、にんじん、白菜、ほうれんそう、もやし、赤パプリカ
- いちご、バナナ、ぶどう、キウイフルーツ、オレンジ、レモン、ブルーベリー
- 焼きのり、木綿豆腐
- 牛肉、豚肉、鶏肉、魚、卵
納豆が合わない人必見!納豆が合わないのか見極める方法
納豆が原因で下痢や腹痛、便秘などの症状がでているのか見極める方法があります。
- 1高FODMAP食を制限する(3週間)
治療開始から3週間は、高FODMAP食を徹底的に制限します。
この期間を経た後に、症状が改善されているかどうか確認します。症状が改善した場合は、高FODMAP食が過敏性腸症候群を引き起こしていたということが分かります。
高FODMAP食を3週間制限し続けていても症状に効果がなかった場合は、FODMAP以外の原因が考えられます。症状が改善した→高FODMAP食が原因
症状が改善しなかった→FODMAP以外が原因
- 2高FODMAPの食品の中で何が原因なのかを特定する(4週間後~)
1週間ごとにひとつの糖質を含む高FODMAPの食品を食べ、自分のおなかの様子や排便の状態などをうかがいます。
そうすることで、自分の腸にはどの食品がOKで、どの食品がNGかわかるようになります。納豆が合わないと感じる方は、まず納豆から調べていくとよさそうですね!
お腹の不調をもたらすFODMAPの種類や量は個人差があると考えられているため、その種類と量を把握して食べられるものを増やすことが目的です。
納豆が合わない人!ワルファリンを飲んでいる人は納豆を食べてはいけない!?
ワルファリンという薬を飲んでいる方は、納豆を食べると、薬の効き目が悪くなっています。
ワルファリンは、血液を固まるのを抑えて、血栓ができるのを防ぐ作用があります。
納豆を食べてはいけない理由
血液が固まるにはビタミンKが必要ですが、ワルファリンはそのビタミンKの働きを妨げることにより、血液を固まりにくくします。
しかし、納豆にはビタミンKが含まれています。しかも納豆菌が大腸でビタミンKを生産するので、ワルファリンの血液を固まりにくくする作用を弱めてしまうのです。
納豆に含まれているビタミンKには、血液を固める作用があります。この作用は、ワルファリンとは反対の作用になるので、くすりの効果が弱くなってしまいます。
引用:日本製薬工業協会
納豆が特に問題となるのは、納豆菌がしばらく体内で生き続けてビタミンKを次々とつくるからなのです。1回納豆を食べると3日間くらい影響が残ります。
このため、ワルファリンを飲んでいる方は、納豆の摂取はしないようにしましょう。
納豆にはビタミンKが多く含まれているから、ワルファリンの効き目を悪くしてしまうんですね。
納豆以外にもワルファリンの効き目が悪くなる食べ物
納豆の他にクロレラや青汁なども納豆と同じようにビタミンKを多く含むため、摂取を控えるようにしましょう!
また、ビタミンKを多く含む緑葉野菜をたくさん食べ続けることは控たほうがいいでしょう。
ビタミンKを多く含む食べ物は、ワルファリンとの相性がよくないんですね!
納豆の影響は数日間続くとされているので、ワルファリンを服用中の場合には、間隔をあけても、残念ながら納豆を食べることはできません。
納豆、クロレラ、青汁などの摂取について疑問や不安がある場合には、医師または薬剤師に相談しましょう。
まとめ
- 納豆を食べると下痢や便秘、腹痛が起こる場合は、過敏性腸症候群の可能性がある。
- 高FODMAP食である納豆を食べることで、過敏性腸症候群が悪化する原因になる
- 低FODMAP食事制限をすることで、納豆が原因でおなかの調子が悪くなってしまうのか見極めることができる
- ワルファリンを服用している人は、納豆を食べることでワルファリンの効き目が悪くなってしまうため、納豆を食べるのを控える
- 納豆と同様に、青汁やクロレラはビタミンKを多く含むためワルファリンの効き目が弱くなってしまう
納豆は体にいいというイメージがありましたが、納豆が原因でおなかの調子が悪くなってしまうこともあるので、調子が悪いときは無理に食べ続けない方がよさそうですね。
また、ワルファリンを服用されている方は納豆を食べてしまうと、薬の効きが弱くなってしまってかえってよくないので注意しましょう!
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