つるんとした口当たりで、冷たいデザートに欠かせない寒天。
寒天は液体に溶かしたら、容器に流して固めるだけなのでお家でも簡単に作れてしまいます。
でも、ポイントを知らないと、うまく固まらなかったり、ムラになって失敗してしまうことも。
今回の記事では寒天作りで、よくありがちな失敗を取り上げて、原因を解説します。
また、失敗してしまった寒天のやり直しの術やリメイク方法もお伝えします。
失敗したものをやり直しできるのは嬉しい。最初から作り直さなくてよいのね!
寒天の元は海藻なので、食物繊維たっぷりで、ダイエット中でもたっぷりと食べられるのが魅力です。
ポイントをしっかりマスターして、ヘルシーデザートライフを満喫しましょう!!
寒天が固まらない原因は3つ!失敗例とともにご紹介
寒天がうまく固まらない場合、考えられる原因は大きく3つあります。
それぞれ詳しく解説していきますね
寒天が完全に溶けていない
寒天が液体にしっかり溶けていない場合、しっかり固まらず、形が崩れて食感もあまりよくありません。寒天が完全に溶けていない原因はずばり、加熱不足になります。
透明になったし、あまり沸騰させるのも良くないから沸騰直前で火を止めたの
そうですね、ゼリーの場合はあまり加熱するのは良くないのですが、寒天は沸騰後、およそ2分間の加熱が必要と言われています。
沸騰させていいのね!
特に粉寒天の場合は液体に入れた段階で、透明になるので溶けたように見えるのですが、加熱が充分でないと、寒天は完全に溶けていません。
その前に寒天はどうやって固まっているのでしょうか?
寒天の成分は、鎖状の高分子多糖類になります。そのままでは水に溶けにいのですが、加熱すると鎖がほどけて水に溶ける性質があります。
溶けた寒天を冷却すると、ほどけた分子が再び集まって「網目状の構造」を作るのですが、網目の隙間に液体が包まれることで、ゼリー状の寒天ができあがります。
画像引用:かんてんぱぱの寒天教室
今回の寒天の失敗のポイントは寒天の溶ける温度になります。寒天は90℃以上でないと完全に溶けることができません。
90℃って沸騰前だから溶けてるのでは?と思ったのですが、温度計で測ったら、ふつふつしだして透明になっていても90℃になっていないことがわかりました。
今回、沸騰前(上記温度)で火から下したものと、沸騰後2分間加熱したものを固めて、比べてみました。
出来上がりがこちら。左が沸騰前で火からおろしたもの、右が沸騰後2分加熱したものです。
左はなんとか固まったものの、端は崩れがちに。翌日は離水(水が出てくる)してきました。
やはり、きっちり加熱することが大事ですね。形をしっかりキープしたい場合は加熱をしっかりするのがポイントです。
沸騰したあとも2分加熱してみます!
寒天と砂糖の量
寒天に入れる砂糖は多い方が溶けにくい性質をもつのですが、のちのち離水しにくくなり安定します。なので砂糖をたくさん加えた場合は、しっかり長めに加熱して溶かすのがポイントです。
寒天の濃度も関係する
そもそも寒天の量が少ない場合は、固まりにくいです。作りやすい目安の分量をお伝えします。
液体量 | 粉寒天 | 糸寒天・棒寒天 |
---|---|---|
500cc | 4g | 8g |
この分量だとツルンとした、しっかり食感になります。ふるっとしたやわらかい感じにしたい場合は液体量は700cc位で調整してくださいね。
寒天に冷たい液体を後から加えた
加熱した寒天に、冷たい牛乳やジュースなどの液体を加えた場合、ダマになって固まりにムラが出てしまうことがあります。
これは、寒天が冷たい液体に触れた部分から固まってしまい、触れていない所と差ができるためです。
溶かしたての寒天液はけっこう熱いのに、冷たい液に触れるだけで固まるのね?
寒天の凝固温度は40℃付近なので、室温でも充分固まります。
なので、たとえ出来立ての熱い寒天でも冷たい牛乳と触れた部分は40℃付近まで冷めて、部分的に固まってしまうのです。
こちらは、出来たばかりの熱い寒天液に牛乳を入れた時の写真です。牛乳を入れた途端、まるでヨーグルトのようにもろっとした感じになってしまいました。このまま固めてしまうとムラができてしまいます。
ムラを防ぐためには、加える液体も40℃付近に温めてから加えるようにしましょう。
左が冷たい牛乳を加えた場合、右が40℃付近に温めて加えた場合(レンジで30秒くらい)です。
温めた場合は表面も均一ね!口当たりも変わってくるわね
はい、少しのことですが温度を気を付けるだけで仕上がりが変わるので、コツをおさえてくださいね
酸と一緒に寒天を加熱した
レモン果汁を入れた寒天が全然固まらないの…きっちり2分沸騰させたんだけど
寒天はオレンジやレモンなど酸っぱいものに弱いという特性があります。
しかし、何故でしょうか?先ほど寒天の網目構造に液体が包まれて固まるということをお伝えしました。
酸味のある果汁と寒天を一緒に加熱すると、酸が寒天の網目を分解してバラバラにしてしまうため、固まってくれないのです。
レモンなどの酸の成分を寒天に混ぜ込む場合は、寒天を完全に煮溶かし、粗熱がとれた状態で果汁を混ぜれば大丈夫です。
左がレモン果汁を入れて加熱したもの、右が後から果汁をプラスしたものです。後から加えた方は綺麗に固まってますね。
後から加える時、冷たい果汁ではなく直前に温めてから混ぜてくださいね
寒天が固まらない時やり直しはできるの?
寒天がうまく固まらない原因はわかりましたが、できてしまった失敗作はどうしましょう
家のおやつだから、そのまま食べてもいいけど、失敗作を使ってやり直しできたら嬉しいわ
失敗してしまった寒天ですが、やり直しすることが一部可能です。
失敗の原因によって、やり直しできるものは分かれます。1つずつ見ていきましょう。
加熱時間が足りない原因の場合のやり直しはできる?
加熱時間が足りなくて、寒天が固まらない場合、再び加熱してやり直すことができます。
小鍋に寒天を入れて加熱しますが、最初は溶けるのが遅いので、カットしておくほうがオススメです。
蒸発しすぎると水分量が変わるので、沸騰後は弱火で2分間加熱して、再度型に流してください。
これを固めたものが、下の写真です。つるんとしっかり固まった状態で美味しく復活することができました!
冷たいものを加えてムラになった場合やり直しはできる?
冷たい牛乳を加えてモロモロになってしまった寒天のやり直しはできるのでしょうか?
先ほどと同じように、再度鍋に戻して加熱してみました。沸騰して弱火で2分加熱すると再度液状に。
再び固めたらこの通り。ムラもなく断面も均一な状態です。食感もつるんと滑らかになり美味しかったです!
失敗作だったなんてわからない!やり直しができるってうれしい
酸の影響で固まらない場合やり直しはできる?
酸の影響で固まらなかった場合のやり直しは、残念ながらできません。
でも、フルっとなんとか固まっているので、サイダーをかけてスペシャルドリンクにしても。ヒンヤリと美味しかったですよ。
このままでもいいですし、冷凍庫に入れたらシャーベット状になりますよ。
凍らせると、甘味を弱く感じてしまうので、はちみつをかけるとちょうどよい感じになりました。
寒天が固まらない果物はあるの?
パイナップルをゼリーに入れたら固まらない…って聞いたことはありませんか?
寒天も入れたらダメな果物があるのかな?
ゼリーの場合、蛋白質で出来ているので、蛋白を分解する酵素をもつパイナップルやキウイを、生で入れるのは避けないといけません。
しかし、寒天の場合は海藻由来でできた多糖類なので、パイナップルやキウイを生で入れることも可能ですし、基本的に入れたらダメな果物はありません。
しかし、先ほどもお伝えした通り、酸には弱いので最初から加熱せず、後から加えるように注意してくださいね。
寒天が固まらない!レンジ加熱の場合
寒天は加熱して溶かして固めるだけなので、電子レンジでも作ることができます。
レンジ加熱でも寒天が固まらない場合は、加熱時間が不足していることが考えられます。
レンジではどのくらい加熱すれば良いのかしら?
加熱の目安は、寒天液の沸騰を確認してから、さらに15秒加熱すれば良いでしょう
なるほど、15秒間沸騰し続けたら大丈夫のようです。量や容器によってどれくらいで沸騰するかはそれぞれ違うと思うので、目安にしてくださいね。
ちなみに、私のレンジはあまり庫内が見えないタイプなので、どれくらいで沸騰するか、細切れに開けて様子を見てみました。
500mLの寒天液で600Wで6分加熱で沸騰していたので、さらに15秒加熱してみました。
レンジで検証してみたところ美味しくできたので、レシピも一緒にのせておきますね。
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STEP1タッパーなどレンジ対応容器に水、寒天、砂糖を入れる。
このレシピでは1L入るレンジ対応のタッパーで作りました。
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STEP2600Wで6分加熱する。
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STEP3沸騰しているのを確認して、さらに15秒加熱する。
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STEP415秒後、寒天の溶ける90℃はクリアしてました。
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STEP5熱めのお風呂くらいになるまで冷ます。30分ほど放置でOKです。
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STEP6オレンジジュースも30秒位レンジで加熱する。
冷たくなければ大丈夫です。同じ位の温かさがベストです。
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STEP7寒天液にオレンジジュースを合わせて混ぜる。
ふだんのおやつなら、タッパーに入れたまま固めても。スプーンですくって器にもったら良い感じになります。
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STEP8容器にみかんをに入れて、寒天液を流し、固める。
常温でも固まりますが、冷蔵庫で冷やす方が夏はいいですね。
フルフルが好きな方は、液体700cc(水500cc+オレンジジュース200cc+寒天3g)で作ってみても。
固めるがテーマなのですが、私はこのくらいやわらかいのが好きです(笑)
ガラスの器ですくって食べたら、固まらなくても気にならないですしね。楽しく作って美味しく食べられたら、それで良いのかなと思います。
まとめ
今回は寒天が固まらない失敗について、原因をお伝えしました。
- 寒天は沸騰後、およそ2分間の加熱が必要
- 加熱不足だと固まりがしっかりせず、翌日離水しやすい
- しっかり固めるには寒天の分量も大事。やりたい形を考えて量の調整をしてください。
- 牛乳やジュースなど冷たいものを加える場合は、温めてから加える
- 冷たいままの液体を寒天に加えると触れた部分から固まり、ムラになってしまう
- 寒天に酸味のあるものを加える場合は最初から加えないこと
- 失敗した寒天は酸を加えて加熱したものでなければ再加熱でやり直すことが可能
- 寒天に入れてはいけない果物は無いが、酸味のある果物は入れるタイミングに注意
寒天は海藻。カロリーを気にすることなく、家でたっぷり作って、美味しくたっぷり、楽しんでくださいね!
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