暑い夏はお風呂上がりの汗が不快で、ついついシャワーだけになってしまいがちですね。私もそうなんです。
きちんと湯船につかることは夏バテ防止にもなるので入ったほうが良いのはわかりますが、せっかくお風呂にはいっても汗だくになると「意味ないのでは?」と感じてしまいます。
意味ないといえば、お風呂上がりにせっかくつけた化粧水も汗で全部流れてしまい、意味がない…
ならば、風呂上がりに汗をかかないよう、クーラーで部屋をガンガンに冷やしておけば良いではないか!と思いきや、それではかえって体を悪くする可能性も。
この記事では、健康のために、夏でもきちんと湯船につかりつつ、お風呂上がりを少しでも健康で快適に過ごせるよう、お風呂上がりの汗への対処の仕方、化粧水の効果的なつけ方などの情報をお届けします。
風呂上がりの汗を冷やして止めないほうが良いのはなぜ?
お風呂上がりに汗をあまりかきたくないという気持ちはわかります!
でも汗をかくのは体温を下げるための働きなので、無理には止めない方が良いのです。詳しい理由を説明していきますね。
体の自然なはたらきが狂ってしまうため
風呂上がりの汗を急激に冷やして止めることがいけない理由は、体の自然な働きを狂わせてしまうからです。
生き物には、生命を維持するのに最適な体温(至適温度)があります。
ヒトの場合は個人差はありますが、通常、体内の温度が36~37℃程度に保たれるようになっています。
体温が下がってしまうと酵素の活性が低下したり、内臓の働きが悪くなったりするなど、コンディションを保つことが難しくなるのです。
反対に体内の熱が放散しきれず体温が上がると、体力消耗や心臓への負担、 頭痛、倦怠感などにつながります。
そのため、体が冷えると脳は「体温を上げて!」と指令を出し、体は体温を上げるための活動を開始します。
反対に体が熱くなると脳は「体温を下げて!」と指令を出し、体は体温を下げるための活動を開始します。
脳と体の「阿吽(あうん)の呼吸」というわけです。急激に冷やして汗を止める行為は、これを邪魔してしまうことになるのです。
体温を下げるために体に起きている2つの反応
体温調節はまず、血管を縮めたり拡げたりすることで行われます。
体温が上がると皮膚の表面近くの血管が拡張し、皮膚表面から熱を放散させることで体温を下げようとします。
お風呂上がりに顔や肌がピンク色になるのもこのためですね。
血管を拡張しても体温が十分に下がらないと、脳は次に、汗腺(かんせん)に「汗をかこう!」という指令を出します。
かいた汗は、皮膚から蒸発する際に体の熱を奪い、体温を下げてくれます。
言い換えれば、汗は皮膚の表面で「打ち水(うちみず)」の役割を果たしているのです。暑いと汗をかくのはこのためなのですね。
体温を下げたいのに放熱をストップする脳の誤作動
お風呂上がりは体が温まっているため、脳は体温を下げようとして血管を拡げ、汗をかくよう指令を出すのが自然で正常な働きです。
ところが、クーラーの冷たい風にあたって急激に体(皮膚)を冷やしてまうと、その部分の温度が下がるので血管が収縮します。
そうするとこれ以上の放熱を防ぐために、汗腺も閉じてしまいます。
十分に体温が下がっていないのに、脳は体温が下がったと判断してしまうので、体温(特に体の深部体温)が高いまま放熱を止めるように体に指示を出し、保温する体制になるという誤作動が起きてしまうのです。
脳の誤作動が作り出す熱帯夜
熱帯夜は寝苦しいですよね。寝不足により体力が消耗し、夏バテになってしまいます。
しっかり眠ることはとても大切です。しっかり眠る=長い時間眠るのではありません。
脳と体をしっかり休息させる「深い眠り」が大切です。深い眠り=良質な睡眠を得るためには、深部体温(体の内部の温度)を下げることが大切です。
深部体温を下げるためには、体が熱を放散するシステムが重要な役割を果たしています。
皮膚表面からの熱放散によって深部体温が下がり、それにともなって体は休息状態に入り眠気が訪れます。実際、深い睡眠の時には体温が大幅に低下します。
風呂上がりに急激に冷やして汗を止めてしまうと、脳と体は保温体制に入ってしまっているので皮膚表面からの熱放散が行われず、深部体温が下がりにくくなってしまいます。
「外気温が高い熱帯夜」ではなく、「自ら放熱をやめて招く自分だけの熱帯夜」状態になるのです。
その結果良質な睡眠が得られず、睡眠不足や自律神経の乱れなど体調不良につながってしまうのです。
風呂上がりの汗を急激に冷やしては行けないのはこのためなのですね。
風呂上がりの汗をどうやって止めればいい?
高すぎる体温は下げなければなりませんが、無理に冷やして急激に下げることが良くないということが分かりましたね。
シンプルですが。「汗は無理に止めようとせず、もう汗をかく必要はないと脳が判断するまで自然冷却する」ようにしましょう。
汗をかくと汗臭くなるのが心配ですが、汗そのものは臭くありませんので安心してください。
汗のにおいが気になる方は、消臭効果の高いボディソープに変えたりすると良いでしょう。
どうしても暑くて汗が引かないときは
自然冷却といっても、夜でも30℃以上の熱帯夜ではいつまでたっても体温は下がらず汗も止まりません!
そのような場合は、エアコンは28℃程度とやや高めに設定して、扇風機の微風でゆっくりとクールダウンしてください。
湯船に浸かってせっかく深部体温を上げたのですから、自然な体の反応を邪魔しない方法で放熱していきましょう。
深部体温の低下とともに、深い眠りに入れるのが一番良いですね。
風呂上がりの汗が止まるまで化粧水はつけられない?
夏のストレスにさらされた肌をケアして上げたいのだけど、お風呂上がりの汗だらけの顔につけても全部流れてしまいそうですね。
やはり汗が引いてからでないとダメなのでしょうか?
結論から言うと「汗が引いてから」ですね。しかし、気をつけなければならないことがあります。それは、お風呂上がりの肌は乾燥しやすいこと。
風呂上がりの肌は、清潔になり気持ちも良いのですが、保湿の役割をしていた皮脂なども洗い流されてしまい、とても乾燥しやすい状態になっています。
汗が引くまで化粧水をつけるのを待っている間にも乾燥は進んでしまいます。
お風呂上がりはもっとも乾燥しやすいので、このタイミングで1回つけて、汗が引いてからもう一回化粧水を使うのがおすすめです。
1回目は「導入化粧水」を選ぶとより効果的ではないでしょうか♪
まとめ
夏の湯船に入っての入浴はさまざまな健康効果があり、クーラーで冷えて悪化した手足の血流の改善など、体調を整えるために大きなメリットがあります。
しかし、風呂上がりの対処の仕方を間違えると、せっかくの入浴によるメリットがなくなってしまうばかりか、体調を崩してしまいます。
- お風呂上がりの汗を急激に冷やしてしまうと、皮膚表面からの放熱により体温を下げる働きが狂ってしまう
- 深部体温が下がりにくくなり良質な睡眠を得られなくなると、睡眠不足や自律神経の乱れなど体調不良を引き起こしてしまう
- 汗は無理に止めようとせず、もう汗をかく必要はないと脳が判断するまで自然冷却する
- 外気温が高すぎる日は、エアコンは28℃程度とやや高めに設定して、扇風機の微風でゆっくりとクールダウンする
- 化粧水は汗が引いてからつけたほうが良いけれど、お風呂上がりの肌は乾燥しやすい状態なので注意が必要
- 化粧水はお風呂上がり直後に1回、汗が引いてからもう1回の2回に分けるのが効果的。最初の化粧水は導入化粧水を使用するとさらに良し
高齢者に関しては、毎日入浴する人と、週に1回しか入浴しない人とでは、毎日入浴する人の方が要介護になる確率は30%も低いのだそうです!
入浴の効果は絶大なので、夏でも正しい方法で入浴後の時間を過ごし、体調を整えるようにしましょう。
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