ゼラチンと聞くと、ゼリーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。私自身子どものころに、ゼリー作りに挑戦した記憶があります。
ジュースのような液体がみるみるうちに固まっていくところが、とっても不思議で気に入って見ていたことを思い起こします。
ただ、ゼラチンを使ってもなかなか固まらないという経験を皆さんはお持ちではないでしょうか⁉
ゼリーの様にかたまって弾力のある仕上がりになるはずのものが、ドロドロな状態になってしまったら残念ですよね。
そこで、今回はなぜゼラチンを使っても固まらない場合があるのか、どうしたら固まるようになるのかをご紹介したいと思います‼
ゼラチンを使っても固まらないのはどうして⁉
ゼラチンを使っても固まりにくいのは、いったいなぜでしょうか。主に考えられる原因として、次の3つがあるとされています。
- ゼラチンが溶けきっていない場合
- 加熱しすぎた場合
- 固まりにくいフルーツを使った場合
ゼラチンが溶け切っていない場合
ゼラチンには、大きく分けて次の3種類ありますが、それぞれ用法や用量を守って水やお湯に溶かす必要があります。
特に、粉末タイプ、リーフタイプはしっかりとふやかす必要があるのです。
- 粉末タイプ
- 顆粒タイプ
- リーフタイプ
粉末タイプ
粉末タイプのゼラチンは、いろいろな用途に使われます。
粉状なので分量を測りやすく、飲みものに溶かす用などにも使われています。
家庭で少量ずつ使うのにも向いていますね。
粉ゼラチンを使用する際は、水でふやかして温めた液体に加えたり、液体が冷たい場合は、ふやかした粉ゼラチンを湯せんで溶かしてから加えます。
味に少しクセはありますが、溶かしやすく、固まる時間も短いため、初心者でも使いやすいです。
プルンと弾力のある仕上がりになり、グミやプリンづくりに向いています。
粉末タイプのゼラチンは、kg単位で売られているものが多いように感じましたが、小分けの商品もありました♪
顆粒タイプ
顆粒タイプは、お菓子作りなどによく使われます。水でふやかさずに、そのまま溶かすことができます。
代表的な例が下のクックゼラチン。ゼラチンといえば、真っ先にこれを思い出します‼
ふやかす必要なしに使える手軽さが何といっても嬉しいポイントですよね♪
リーフタイプ
リーフタイプは板ゼラチンともいわれています。
枚数でグラム数が測れて、計量する手間がないところがポイントです。
やや溶けにくいですが、透明度が高く、滑らかに仕上がります。味は粉タイプと比べて、クセがありません。
使用する際は1枚ずつ氷水でふやかして、しっかりと水気を絞ったうえで温かい材料と合わせます。
こちらのゼラチンリーフは30gで約500~600円です。
加熱しすぎた場合
ゼラチンを溶かすときに、加熱しすぎてゼラチン本来の役割を果たせなくなってしまう場合があります。
加熱しすぎるとゼラチンが熱によって分解され、ゼリーが固まりにくくなってしまうのです。
ここで、ゼラチンの役割や構造についてご説明しましょう。
ゼラチンは、動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンというたんぱく質から作られたものです。
コラーゲンの構造をみると、らせん状の細長い分子が3本より合わさって、三重らせんのような形になっています。
このコラーゲン分子に熱をかけると、3本の分子がはずれ、バラバラの状態になります。これをゼラチンと呼びます。
引用:森永製菓HP
加熱しすぎると、このゼラチンの構造が破壊され、たんぱく質の機能が失われ、固まりにくくなってしまいます。
製菓メーカーのHPによると、ゼラチンを溶かすには、50~60℃くらいが最適の温度とされています。
そのくらいの温度で湯せんしたり温めたりして、溶けたらすぐ冷ます方がいいとされています。
固まりにくいフルーツを使った場合
フルーツの中には、タンパク質分解酵素を含んでいるものがあります。
生のままでそうしたフルーツを使うと、ゼラチンが分解されて、固まらなくなります。
特に以下のフルーツは、タンパク質分解酵素を含むので、生のままゼラチンと一緒に使う際は注意が必要です。
- パイナップル
- パパイヤ
- キウイフルーツ
- イチジク
- メロン
- ナシ
- マンゴ
- グァバ
- アボカド
特にパイナップルやキウイなど、身近なフルーツとゼラチンを使ってお菓子作りに挑戦される際は、生のまま使うと固まりにくいと覚えておいてください‼
また、フルーツの他にも、生姜や大根、セロリやパセリなど、酵素を含む野菜があります。
そういった食材とゼラチンをあわせて入れると、かたまりにくくなるのでご留意ください!
ここまでは、ゼラチンを使っても固まらない場合の主な原因をみてきました。
ここからはどうすればきちんと固まるのか、その対処法についてみていきたいと思います。
ゼラチンを使っても固まらないときどんな果物を使えばいい⁉
ここでは、フルーツを使って固まらせたい場合にどうすればいいか、ご紹介します‼
上で挙げたように、タンパク質分解酵素を含むフルーツは注意が必要です。
タンパク質分解酵素を含むフルーツとそうでないフルーツに分けてご紹介します。
タンパク質分解酵素を含むフルーツの場合
- フルーツ自体を加熱し、フルーツの持つ酵素の働きを止める
- 缶詰のフルーツを使う
缶詰のフルーツを使う場合、製造工程でタンパク質分解酵素が失活し、働かなくなっています。
逆に言うと、酵素を摂取したいという場合は生のフルーツの方がいいでしょう
例として、パイナップルを挙げましょう。こちらの実験結果によると、ゼリーの上に生のパイナップルを置いておくと、ゼリーが溶かされてしまいました。
パイナップルの持つタンパク質分解酵素のおかげで、ゼラチンが溶かされてしまったのです。
パイナップルを使ったゼリーづくりのときは生ではなく、缶詰のパイナップルを使ってみてください‼
また余談ですが、タンパク質分解酵素を含む野菜の場合、できるだけ生のままの食材とゼラチンを使って、ジュレとして楽しむという方法があります。
ゼリーほど固まらないとしても、ジュレほどの弾力具合なら、ゼラチンも有効です。
アボカドやオクラなどを用いた簡単なレシピがありますよ♪
夏野菜のジュレ
- アボカド・オクラ・トマトなどジュレにしたい生野菜を食べやすい一口サイズに切る
- 耐熱容器に水・粉ゼラチンを入れてふやかし、レンジで十秒ほど加熱する(ゼラチンが分解されないように、加熱しすぎないこと)
- ジュレの味付けとなる調味料(砂糖、醤油、だし、水など)を全体がよく混ざりあうまでレンジで数分加熱する
- 3に2を混ぜて冷蔵庫2〜3時間固まるまで冷やし、フォークなどで崩してジュレ状にする
- 混ぜるときはゼラチンの機能を果たすために60℃前後以下の温度が望ましい
- 器に和風ジュレと1を入れて盛り付け
ジュレとタンパク質分解酵素を含む野菜を交互に盛り付けることで、若干ジュレが溶けやすくなるかもしれません。
ですが、ジュレはゼリーの様に完全に固めてしまうわけではないので、食べる際に大きな違和感はないでしょう。
タンパク質分解酵素を含まないフルーツ
生のフルーツをゼリーに使いたい場合は、上で挙げなかったようなタンパク質分解酵素を含まないフルーツを使うといいでしょう。
参考までに、フルーツを使ったゼリーの簡単な作り方は下のような感じです。
いちごゼリー
- 水・ゼラチン・グラニュー糖を入れ、溶けるまで鍋を弱火で加熱する。
- 型にいちごを並べ、上から1を流し込む。フルーツが浮き上がりやすいので、何回かに分けて入れる。
- 冷蔵庫で数時間冷やし固める。
ゼラチンを使っても固まらない時は再加熱?ゼラチンを足せばいいの?
ゼラチンを使っても固まらないときは、再加熱して、ゼラチンを足すという方法があります。
これは、固めるためのゼラチンが足りなかったときに有効です。
しかし、加熱しすぎるとゼラチンを失活させてしまうので、60℃以下になるように気を付けましょう!
ただ、温度計がご家庭になく、どの程度まで温めたらいいかわかりづらい人も多いでしょう。温度は50~60℃くらいが目安です。
- 沸騰させたお湯に対して、同量か少し少なめの量の水道水(10~18℃程度)を加えた時の温度が目安となる
- お湯を火にかけて泡が少し立ち始めたころ
また、ゼラチン液を足す場合、ゼラチンの量が増えてしまって、多少風味に影響が出るというデメリットもあるので注意が必要です。
また、再加熱をした分、一緒に固めるフルーツや材料の風味も変わってしまう可能性があります。
まとめ
- ゼラチンを使っても固まらないのは、ゼラチンが溶けきっていない、加熱しすぎ、固まりにくいフルーツを使ったという3つの原因がある
- ゼラチンは粉末タイプ、顆粒タイプ、リーフ(板)タイプがあるので、使用上のメリットを知っておこう
- ゼラチンを溶かすときは、加熱しすぎないようにする
- パイナップルやキウイ、マンゴーなどのフルーツはタンパク質分解酵素を含んでいるため、生の状態で使うのではなく、缶詰のものを使うと良い
- ゼラチンを使っても固まらないときは、再加熱してゼラチンを足すという方法でもOK。再加熱するときの温度は50~60℃になるように注意する
ゼラチンを使ってプルプルになったゼリーは、果物とも良く会いますよね♪
ゼラチンそのものの特徴や果物の種類をよく知って、美味しく活用していきましょう。
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