2023年4月1日から、自転車に乗る時にヘルメットを着用することが努力義務になりましたね。
先日、バイク用のヘルメットをかぶって自転車に乗るおじいさんを目撃しました。使われてなかったヘルメットを出してきてかぶっているのかなと思いました。
おじいさんの姿はかわいかったのですが、サイズ合ってるのかな?と気になりました。それにバイク用って大丈夫なんでしょうか?
にわかに脚光を浴びた自転車用ヘルメット。どう選んだら良いのでしょう?
ママチャリ歴ウン十年のヘルメット初心者ですが調べてみました。
まず言えるのは、バイク用は想定されている衝撃が似ているとは言え、自転車用ヘルメットの方が圧倒的にメリットが大きいということ。
ヘルメット初めてさん向けに、ヘルメットのメリットと選ぶポイントをご紹介していきますね。
自転車用ヘルメットの選び方
頭を守るヘルメットなら何でもいい、ではダメなんですか?
野球用のヘルメットは横から飛んでくるボール、産業用のヘルメットは上からの落下物から頭を守るためのもので、想定されている状況が違います。
自転車に乗っていて転倒すると野球用はすぐに脱げてしまうので、そもそも役に立ちません。
産業用は上部以外は弱いので、自転車の転倒のような複数回起こる衝撃や回転する衝撃などから頭をうまく守ってくれません。
自転車用ヘルメットは主に強化プラスチック製のシェル(外殻)、発泡スチロール製のライナー(内側)、あごひもの3部分からできています。
シェルが衝撃を分散し、ライナーが衝撃を吸収することで、頭部へのダメージを緩和します。
確かにバイク用のヘルメットは、他の用途のヘルメットよりは想定されている衝撃が似ています。
でも自転車用ヘルメットは、これから見ていくように安全性や機能性で優れているので、ぜひ自転車用ヘルメットをかぶって欲しいなと思います。
安全性
安全基準を満たしていることを示すマークが4つあるので、選ぶ際は次のマークがつけられていることを確認しましょう。
また自転車用ヘルメットの安全性を高めるシステムとして、特許技術のMIPS(ミップス)が搭載されているものもオススメです。
MIPSは「Multi Directional Impact Protection System(多方向衝撃保護システム)」の略で、搭載ヘルメットにはMIPSマークがついています。
MIPS搭載ヘルメットは、シェルとライナーの間に低摩擦レイヤーがある、3重構造になっています。
事故などの衝撃の際、低摩擦レイヤーが頭の動きにあわせて全方向にスライドして、衝撃のエネルギーを逃がすようになっているんです。
自転車で転倒した場合、地面や障害物に直線的に衝突する打撃はヘルメットのシェルが、頭がねじれる回転の衝撃はMIPSが守ってくれるというわけです。
自転車ヘルメットのサイズ
ヘルメットが自分の頭にフィットしていることはとても重要です。
転倒や事故の際にずれてしまったり、最悪の場合脱げてしまったりしたら、どれほど良いヘルメットを着用していても頭を守ってもらうことはできません。
また小さすぎて露出部分が多いと、生身の部分で衝撃を受ける可能性が大きくなり、ケガをするリスクが高まります。
ヘルメットは額の部分が隠れる深さで、けれど視界は妨がないという大きさが良いです。
頭にしっくりくるヘルメットを選ぶためには、できるだけ試着をして選ぶようにしましょう。
自転車専門店などアドバイスしてもらえるスタッフのいるお店で購入する方が失敗が少ないでしょう。
どうしても通販サイトで購入したい場合は、できるだけ正確にサイズを測った上で、アジャスター付きでサイズの微調整が可能なものを選びましょう。
サイトによってはサイズが合わなかった場合に、無償で交換してくれるところもあるようです。確認しておくとよいですね。
自転車ヘルメットの形
ヘルメットの形にも注意が必要です。欧米の人の頭は左右が狭く後頭部が出っ張っている「楕円形」が多いです。
日本を含むアジア系の人は側頭部が出っ張っていて前後が短い「丸形」が多いです。
日本製は丸形のモデルが多いですが、海外メーカーのものを選ぶ時は「アジアンフィットモデル」と呼ばれる、アジア系に配慮したモデルを探してみましょう。
試着してどこかが痛かったりすき間が空いていたりしたら、あなたの頭の形に合っていないということなので、他のメーカーの物を探しましょう。
自転車ヘルメットの重さは軽量タイプがおすすめ
重いヘルメットを長時間かぶっていると、首や肩のこりの原因になります。
軽量なモデルは高価になりやすいので、着用している時間が短い人はそれほど気にしなくても良いですが、できれば300g以下の軽いタイプを選びたいですね。
300gなんて、バイクのヘルメットよりだいぶ軽いですね。
自転車ヘルメットの通気性
自転車用のヘルメットは長時間着用すると汗などで内部が蒸れやすくなります。また暑い時期には熱中症の危険性が高まります。
空気穴(ベンチレーション)がついたヘルメットは通気性が高く、内部の熱を外に逃がしてくれるので快適に使えます。
空気穴の数が多いほど軽量になるので、首や肩への負担も軽くなります。
バイクのヘルメットは自転車用に比べて、圧倒的に空気穴が少ないですよね。
自転車ヘルメットのデザインや色
スーツにスポーティーなデザインもかっこいいけど、目立ってしまうのはうれしくないかな。
自転車は通勤用で、オフィスカジュアルを着て乗ることが多いけど、休日はデニムで遠出をするのが好き。
どういうのが良いのかな。
街になじんで、様々な服装にマッチするデザイン。自分の好みであることも重要なポイントですし、なかなか難しいですね。
カジュアルな服装が多いなら、気楽にかぶれる帽子型のデザインもあります。短時間ならヘルメットのままでいても違和感がないくらい帽子っぽいですよ。
髪の長い女性のためのポニーテール対応モデルもあります。
アジャスターの位置が初めから高めのもの、結び目に合わせてアジャスターの位置を変えられるものなどあるので、確認してみてくださいね。
服装の幅が広い場合は、シンプルなデザインや落ち着いたマットな色を選ぶと合わせやすくなります。自転車の色やデザインに合わせるのもおしゃれですね。
でも暗い時間に乗ることが多い人、街灯の少ない場所を走ることが多い人は、安全のために白や明るい色を選んだ方が良いでしょう。
自転車ヘルメットの価格
先ほどご紹介した安全性を保証するマークがついている物を選んでいるなら、安価な物でも大丈夫です。
軽量にしたりより良い素材に変えたりすることが、価格の違いに現れます。また、MIPSのようなより安全な技術を採用したヘルメットは高額になります。
自転車用ヘルメットの着用を促すために、購入者に補助金を支給する自治体もあります。
だいたい2000円程度のところが多いようですが、金額や条件は各自治体によって異なるので、一度お住まいの自治体の情報を確認してみましょう。
その他
必須ではないけれど、あると便利というものをご紹介していきますね。
- バイザー
前側にバイザーがあると日差しをさえぎってくれるだけでなく、雨の日に目やサングラスに当たる雨を減らしてくれるというメリットがあります。
取り外し可能で、布製で洗濯できるものもあります。
- テールライト
暗い時間に自転車に乗る場合は、テールライトが付いているヘルメットがオススメです。後付けで取り付けられるテールライトもあります。
上の方に目を引くライトがついているとドライバーが確認しやすいというメリットがあります。
ちなみにヘルメットは、紫外線や汗による経年劣化の影響を受けやすいアイテムです。
ヘルメットの寿命は3年とされていて、安全保証も3年と定められています。
ほとんどのヘルメットは内側に製造年月日が書かれているので、チェックしておきましょう!
落としたり転倒したりして衝撃を受けたヘルメットは、その部分の衝撃吸収性が落ちています。
見た目は大丈夫そうでも、なるべく早く買い替えを検討しましょう。
自転車用ヘルメットの選び方!子供用
基本的には大人用と同じポイントで選ぶことになりますが、いくつか子供用のポイントがあるので解説しておきますね。
サイズ
子供用では対象年齢が書かれていますが、頭の大きさは個人差が大きいです。年齢で選ばず、実測値で選びましょう。
子供用はどうしても大きめを買いがちですが、ぶかぶかで脱げてしまっては頭部を守ってくれません。
寿命も3年ですし、頭のサイズに合ったヘルメットを選びましょう。
試着して選んだ方が良いのは大人用と同じですが、難しい場合はサイズ調節ができるアジャスター付きを選びましょう。
機能性とデザイン
小さなお子さんほど、重さの確認をしておきましょう。できるだけ本人にかぶってもらって首への負担を確かめておきたいですね。
軽量タイプは高額になりがちですが、大人よりも重要ポイントになります。
体温の高い子どもはヘルメットの中も蒸れやすいです。不快だとかぶってくれないので、通気性のあるヘルメットを選びましょう。
慣れるまではかぶるのを嫌がるお子さんも多いでしょうが、かぶらなくて良い状況にはなりそうにありません。
自分で着脱する年齢なら、ワンタッチのバックルなど着脱しやすいものを本人に選んでもらうのも良いかもしれません。
かわいい系、かっこいい系様々なデザインのモデルが出ています♪
好きなキャラクターや色を選ぶなど、本人の好みを聞いて一緒に選び、モチベーションを上げてあげましょう。
自転車用ヘルメット着用は努力義務
2023年4月1日から、すべての自転車利用者は乗車中のヘルメット着用の努力義務が課されることになりました。
これまでも13歳未満の子どもは自転車用ヘルメットの着用が努力義務だったのですが、すべての年齢が対象となったのです。
二人乗りする場合は、同乗者もヘルメットの着用が努力義務となります。
どうしてもかぶらないといけないの?
努力義務ってどういうこと?
努力義務は各自の判断に委ねられた状態なので、かぶらないからといって罰や制裁があるわけではありません。ワクチン接種の時と同じです。
ただヘルメットを着用していなかった場合、着用していた場合より致死率が2.3倍になるという統計データもあります。(警視庁)
自転車事故のうち、死亡事故や後遺症が残る事故のほとんどは脳へのダメージが原因と言っていいでしょう。
ヘルメットの着用が安全にとても有効なのは事実なので、できればかぶって欲しいな。
自転車用ヘルメットにおしゃれな折りたたみ式もオススメ
折りたたみ式ヘルメット
カジュアルな折りたたみ式のヘルメットがあること、知ってますか?
主にヨーロッパのブランドで開発されていて、CEの基準をクリアしているモデルもあります。
日本では安全基準の認証はされていないので、SGなどのマークはついていません。
いろいろなブランドで出ていますが、だいたいは1~3秒程度で半分に折りたためるなどして、カバンに入れて気軽に持ち運べます。
シティ用ヘルメットとして日常的に着用するためにデザインされているので、おしゃれです。
自転車を離れるときにヘルメットを盗まれるのではと心配な人には、ちょうど良いですよね。
ただ問題はヨーロッパのブランドのため、ほとんどがアジアンフィットモデルになっていないことと取り扱いが少ないこと。
自転車用ヘルメットの着用が拡がって需要が増えれば、入手しやすくなるかもしれないですね。
カスク
ヘルメットではないけれど、カスクという頭部の保護具もあります。
画像で挙げているのは私の家族の私物のカスクで折りたためないタイプですが、小さくコンパクトになるタイプもあります。
ウレタンなどクッション性の高い素材が使われていて柔らかいので、かぶりやすいです。
固いシェルも高性能なライナーもないので安全性はヘルメットにだいぶ劣りますが、どうしてもヘルメットには抵抗がある、という人には良いかもしれません。
努力義務なのでヘルメットに規定があるわけではないですし、ノーヘルメットにするくらいならカスクもありだと思います。
特に次にご紹介するサイクルキャップと重ねて使えば、人とは違うおしゃれさです。
NHKの「にっぽん縦断こころ旅」という番組で、火野正平さんがかぶっていた回があって、話題になったそうですよ。
このカスク、ややこしい点が一点あって、ヘルメットメーカーにKASK(カスク)というイタリアのメーカーがあるんです。
このヘルメットではないカスクと、ヘルメットメーカーのKASKとは全く別もので、カタカナ表記とローマ字表記とで区別されているようです。
購入するときは間違えないように注意してくださいね。
ちなみにカスクの本来のつづりはCasqueで、昔はツールドフランスなどのロードレースでも使用されていたそうですよ。
ヨーロッパの自転車業界の歴史を感じますね。
自転車用ヘルメットの女性の髪型対策にはサイクルキャップがオススメ
ヘルメットが大事なのはわかったけど、ヘルメットの中が汗で蒸れて、髪型が乱れるのが嫌なのはどうしたらいいのかな。
普通の帽子もそうですけど、脱いだときに髪型が乱れるのは防ぎようがないですよね。
根本的な解決にはなりませんが、1つの解決策としてオススメなのがサイクルキャップ。
自転車用ヘルメット初めてさんはきっと、何それ?だと思いますが、サイクルキャップはヘルメットの下にかぶるインナー帽子のことなんです。
サイクルキャップをかぶることのメリットには、次のようなものがあります。
メリット | |
頭皮の保護 | ヘルメットには空気穴(ベンチレーション)があるため、紫外線が頭皮に当たってしまいます。サイクルキャップをかぶっていると、紫外線から頭皮を守ってもらえます。 フィット感がイマイチなヘルメットの場合は、サイクルキャップの厚みで調整することも出来ます。 |
蒸れや汗の軽減 | 吸湿速乾性の高い素材で出来ていることが多いので、ヘルメット内部の不快感がぐっと減ります。 汗が顔にたれてきて目に入る、なんてこともなくなります。 |
洗濯できる | 汗をたくさんかいても、サイクルキャップなら気楽に洗濯できます。 |
バイザー | 短めですがバイザーがついているので、日焼け防止になります。 バイザーがあるとヘルメットと顔との間につなぐ部分が出来て、見た目の違和感が減るという意見もあります。 |
防寒対策 | 防寒用の素材や耳当て付きなどがあります。 |
髪型を気にしなくて良い | 途中でお店などに立ち寄る時は、ヘルメットだけ脱いでサイクルキャップのままでいいので、髪型の乱れを気にしなくてよくなります。 |
ブラックなどの合わせやすい物、ビビッドカラーや遊び心満載の物、バンダナタイプなどいろいろあります。
顔のパーツとのバランスなどで似合う、似合わないがあるようです。
ぜひ自転車専門店に足を運んで、お気に入りを見つけてください。
髪型対策としては、エアーヘッドをつけるという方法もあります。
エアーヘッドとはシリコン製のシートで、ヘルメットに貼り付けることでヘルメットと頭皮の間に空間を作り、通気性を良くします。空間があるので髪がつぶれにくくなりますよ。
調整して頭にしっくりきているヘルメットの場合は、フィット感を低下させるので要注意です。
安全性という面からはオススメしにくいですが、どうしても蒸れる不快感が嫌という人は試してみても良いかもしれません。
まとめ
初めて購入する人向けに、自転車用ヘルメットの選び方についてご紹介しました。
- 安全基準を満たしていることを示す、SG、JCF、CE、CPSCのマークがついているヘルメットを選ぶ
- 特許技術のMIPS(ミップス)が搭載されたヘルメットを選ぶと、頭がねじれる回転の衝撃はMIPSが守ってくれる
- 自分の頭にフィットしていることはとても重要なので、サイズと形を確認し、できれば試着してフィット感のチェックをしよう
- 重いヘルメットを長時間かぶっていると、首や肩のこりの原因になるので、できれば軽量タイプを選ぶ
- 暑い時期には熱中症の危険性が高まるので、空気穴(ベンチレーション)がついた通気性の高いヘルメットを選ぶ
- ヘルメットの寿命は3年と定められている
- 子供用を選ぶ時は対象年齢ではなくサイズで選び、首への負担を考えてできれば軽量タイプで通気性の良いものを選ぶ
- 2023年4月1日からすべての自転車利用者は乗車中のヘルメット着用の努力義務が課されることになった
- ヘルメットを着用していなかった場合、着用していた場合より致死率が2.3倍、死亡事故や後遺症が残る事故のほとんどは脳へのダメージが原因
- 折りたたみ式ヘルメット、カスク、サイクルキャップというアイテムも試してみて
自転車なしの生活は考えられないという人も、健康のために自転車に乗ろうかなという人も、この記事が参考になっていたらうれしいです。
できたらあのバイク用ヘルメットのおじいさんにも、誰か教えてあげてほしいなって思います。
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